中田英寿が日本を旅する[茨城]
「1本の糸をつむぎ、結城紬の奥深さを知る」

BMW M850i xDriveクーペの流麗なボディライン。圧倒的なオーラを解き放ちながら、あらゆる風景と融合する懐の深さも魅力のひとつ。

栃木から茨城、そして千葉へと関東平野を流れ行く鬼怒川にこのおどろおどろしい名前がついたのは、明治時代以降と呼ばれている。かつてこの川の流域では養蚕が盛んで、「絹川」、「衣川」と呼ばれていたが、江戸時代にあまりに洪水を繰り返したため、“鬼が怒っている”と言われるようになったという。2010年にユネスコの無形文化遺産に登録された結城紬は、そんな鬼怒川が近くを流れる茨城県西部の町、結城市でいまもなお昔ながらの製法で作られ続けている。

奥順5代目の奥澤順之専務は、「結城紬の伝統を未来につないでいくのが自分の仕事」と語る。現代にあわせた新製品の開発なども積極的に行う。

「結城紬の歴史は2000年以上といわれています。その特長は、真綿から手つむぎした糸を使うことと、手織りで織ることです。地機は一般的な織り機よりも低い位置で全身をつかって織ります。鶴の首が伸びたような独特の形状や人が羽ばたくように織る様子から『鶴の恩返し』のモデルになったとも言われています」

低い位置で作業を行う結城紬の「地機」はその独特の形状と織り方から『鶴の恩返し』のモデルになったといわれている。

そう語るのは、この地で明治40年の創業以来、本場結城紬を守り続ける奥順株式会社の5代目、奥澤順之専務だ。彼の“実家”は現在、結城紬ミュージアム つむぎの館として伝統の技をいまに伝え続けている。オリジナルの商品が並ぶ「結の見世」には、ストールやネクタイなど、結城紬をつかった「YŪKI OKUJUN」ブランドのモダンな商品が並んでいた。
「軽くてさわり心地がいいですね。結城紬がいろいろなラグジュアリーブランドとコラボレーションをしていることは知っていましたが、これほどのクオリティであれば、それも納得です」(中田英寿)

軽くしなやかな結城紬でつくられたストール。結城紬は世界的なラグジュアリーブランドとのコラボレーションも行っている。

結城紬は独特の光沢が美しく、その手触りは驚くほどに軽く、しなやかでそして温かい。その質感に惚れ込んだデザイナーからの依頼で、結城紬はこれまで世界の有名ブランドとコラボレーションして、スーツやインテリアの生地として活用されてきた。中田もひと目見て、そして触れた瞬間から結城紬の魅力を感じとったようだ。

古民家を改造した陳列館では、数々の反物を目にした。伝統的な柄から現代的な柄までがずらりと並び、結城紬の繊細さを伝えてくる。そこで奥澤専務が見せてくれたのが、繭をほどいただけの真綿。大きな握りこぶしほどの真綿は、2人が両手で広げるとあっという間に1メートル四方に広がり、それでも途切れることがない。空気を含んだ真綿は、丈夫でそしてしなやかだということがわかる。

「繭はお蚕様の生命を守る家。紫外線を通さず、温度や湿度を適度に保ち、さらに防菌効果もあります。この効果は結城紬にも受け継がれていて、着ていても疲れないのが結城紬の特長なんです。着れば着るほど体に馴染み、そして光沢が増して美しくなっていくんです」(奥澤専務)

真綿のかたまりから1本の糸をつむいでいく。よった糸を固めるのは人間の唾。唾に含まれるタンパク質が繊細な絹の繊維との相性がいいのだという。

もちろん結城紬を作るには、熟練の技が必要だ。奥澤専務の案内で結城紬を守る職人のひとり、森肇さんの工房を訪ねた。結城紬ならではの地機が2台並んだ室内では、真綿から糸をつむぐ作業が行われていた。

「細く糸を取り出したら、自分の唾をつけながら撚り合わせていくんです。唾に含まれているタンパク質が1本1本の繊維をくっつけることで1本の糸になっていきます」(森さん)

早速中田も挑戦してみる。傍目にはうまくつむげているように見えるが、ところどころどうしても糸が太くなってしまうようだ。それにしても大きな真綿から細い糸をたぐり出し、手でつむぐというのは途方もない作業だ。糸はどんどんつむがれていくが、真綿はいっこうに小さくならない。この最初の作業だけ見ても、結城紬が出来上がるまでの時間の長さがしのばれる。

「熟練の職人が真綿から糸を紡ぎ、40以上の工程をかけて作るため、1反できあがるまでは最低でも5ヶ月、柄にこだわったものは数年かかることもあります」

森さんの専門である絣くくり(柄をつくる作業)も細かい作業が必要だ。つむぎ出した糸で柄をつくるには、糸そのものに染色をしなければならない。森さんは1本1本の糸に決められた柄をつけるために糸の束にさらに糸をくくりつけ、“染まらない部分”を作っていく。束にして3メートルほどの幅になった糸を相手に作業を行うのだが、これがまたしても細かい。数ミリごとに糸を束ね、染色した時に糸をくくりつけた部分は染まらず、染まらずに残った1点1点がやがて織った時の柄になるのだ。糸と糸を絡ませないよう、指先に神経を集中する。多い日はこれを2000回以上繰り返すのだとか。体験した中田もたまらず音を上げる。

結城紬の絣くくり(柄をつくる作業)を担当する森肇さんに作業を教わる。糸に糸を結びつける繊細な作業は「これは細かすぎて気が遠くなります」(中田)。

「これはとてつもない作業ですね。指先も目も疲れます。ここまでやるからこそ、美しい柄が生まれると理解できました。僕は数年に1度、和服を作っているんですが、次は結城紬にしたいなと思いました。これだけの手間ひまをかけて作られた生地に袖を通してみたい。和服のすばらしさを感じられるような気がします」

中田は、世界が認めた結城紬の奥深さをもっと知りたくなったようだ。奥順では、ストールやネクタイ以外にもコートやパンツなど、現代的なファッションにも挑戦している。もちろんそういったチャレンジもすばらしい。でもやはり結城紬を着るなら和服だ。あの軽やかでしなやかな生地で作られた着物に包まれたとき、どんな気分になるのだろうか。中田が結城紬の着物をつくったら、あらためてその感想を聞いてみたいと思った。

ハイウェイから一般道、そして小道まで。390kW (530 ps)のパワーと四輪駆動システムBMW xDriveの組み合わせで、意のままに走ることができる。

霞ヶ浦の湖畔にて。BMW M850i xDriveクーペの美しいボディをキャンバスに、刻々と表情を変える空が映り込む。

フロント同様、見る者の目を奪うリアデザイン。ラグジュアリー・スポーツ クーペに相応しい優雅さと、しなやかな力強さを兼ね備えている。

先進のテクノロジーが搭載されたコックピット。贅を尽くした空間でBMWらしい走りを堪能しながら、ストレスなく目的地へ辿り着くことができる稀有な一台だ。

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